塗料報知新聞社『工業塗料』No.205掲載
1.はじめに
「外壁」は外的劣化要因である風雨・日射・乾燥などに常に曝される建築要素で、躯体の保護機能と美観を合わせ持つ重要な箇所である。この外壁に断熱性能を持たせた建物を「外断熱建築物」と称している。
外断熱建築物は、無断熱・内断熱の建物に比べ、省エネや快適な室内温熱環境の確保、躯体コンクリート中性化の進行を遅らせる等の特長があり、居住者がその恩恵を享受するばかりではなく、「地球温暖化防止」など社会的意義も大きい。
そのようなことから、新築の建築物ばかりでなく、改修建築物でも躯体の耐久性向上(建築物の長寿命化)・美観回復(向上)・室内環境の大幅な改善が同時に期待できる。
外断熱工法は表-1にのように、いくつかに分類される。2000年の建築基準法の改正により、旧来の仕様規定に対し欧米の性能規定が導入され、図-1のEに分類される透湿薄塗型の湿式外断熱工法が、国内でも施工可能となった。40年以上に及ぶ欧米では、この湿式外断熱工法が大半の建築物に採用されており、安全で耐久性の高い技術であることがわかる。

写真-1.アウサレーション外壁仕様写真
基準法の改正内容が判明してきた2001年頃より、弊社は米国ドライビット社の協力のもと、法改正に対応することで国内でもドライビット社の湿式外断熱工法であるアウサレーションが適用出来るようになったのではないか、という問題について、各種性能証明と関係する行政など関係機関との協議を行った。その結果、国内での湿式外断熱工法の市場育成に繋がる実績が始まった。この場合特に問題になったのは、法22条・法23条などで規定されている「外壁の不燃性」であった。従前の改正前の基準法では22条指定地域以内では、塗料などを除き、法で規定されている土塗壁同等以上の防火上有効な壁されており、それ以外は一切使用を認められていなかった。すなわち,ほとんどの建築主事はこの解釈を「下地は要求される防耐火性能を持っており、且つ不燃材料と同等以上の法で仕様規定された材料のみが外装材として使用される」ということを許可前提と判断していた。
しかし、法改正により「性能評価」という手法によっても、不燃と同等の防火性能を証明することが可能となった。すなわち可燃物であるEPS(ビーズ法発泡ポリスチレンボード)を使用したアウサレーションも、米国ICBO−ESの性能再証明の手続きにより、基準法が要求する防火性能を持つと判断いただき国内での耐火外壁表面等への適用が可能になったと弊社では認識している。可燃物による断熱材を使用した湿式外断熱工法では、この外装工法自体の「不燃と同等以上」の防火性能の証明が重要なポイントの一つになる。
表-1外壁外断熱工法の比較
| |
A.吹付け工法 |
B.密着・湿式工法
(断熱材ピンネット押さえ工法) |
C.密着・乾式工法
(GRC断熱材複合パネル) |
D.通気層・乾式工法
(胴縁サイディング材仕上げ工法) |
E.ドライビット外断熱工法 |
| 断面図 |
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| 仕様 |
外壁面に断熱材を吹付ける。仕上げる吹付け断熱材には「発泡ウレタン」や「アルミナセメント系吹付け材」などがある。仕上げ材は塗膜防水系トップコートが使用される。 |
外壁面に断熱材を接着剤+アンカ−ピン+ネットを利用して張り付け、ポリマーセメントモルタル左官材で押さえて仕上げる。断熱材は押出し発泡ポリスチレン系断熱材等を使用。 |
外壁面に「GRC複合断熱パネル」を接着剤とアンカーピンを併用して張り付ける。GRC複合パネルの表面を塗装仕上げとする場合もある。 |
外壁面に胴縁を配置して胴縁間に断熱材を置き、表面にサイディング材を張り空気層を設ける。サイディング材は押出し成形セメント板などの不燃材とし、タイル張り仕上げも可能である。 |
外壁面に断熱材を接着剤にて張り付け、断熱材をグラスファイバーメッシュおよび樹脂系モルタルルで補強し、その上に塗仕上げを施す。断熱材は透湿性の高いビーズ法発泡ポリスチレンボードを使用する。 |
| 断熱性能 |
断熱材の厚さが制限されるため、断熱性能にも限界があるが、通常の外壁塗り材よりは断熱性能は向上する。 |
断熱材の材質と厚みにより断熱性能が決まる。 |
断熱材の材質と厚みにより断熱性能が決まる。 |
断熱材の材質と厚みにより断熱性能が決まる。 |
断熱材の材質と厚みにより断熱性能が決まる。断熱材に経年変化がない。アンカーに起因する熱橋が小さい。 |
| 改修工事コスト |
比較的安価 |
吹付け工法より増大する |
比較的高価 |
比較的高価 |
比較的安価 |
| その他 |
断熱材の厚みにより幅を大きく狭めたくない箇所に有効 |
アンカーがヒートブリッジ(熱橋)にならないように断熱プラグを使用 |
開口部などの役物廻りのパネルの納まりや割付に工夫が必要 |
耐久性、断熱性能などの信頼性が高い |
基本的にアンカーを使用しないので、躯体を傷つけることがなく、部分的に使用されるアンカーも断熱される納まりなので、熱橋の心配もない。居ながら施工に適する。
|
注1) マンション総プロ表5.3.8では、上記A〜Dの分類までであるが、建築基準法の改正にともない、薄塗りで防火認定を受けている事、基本的にアンカーを要しないことから、ドライビット外断熱工法をEに分類した。 2.湿式外断熱工法の概要
1)アウサレーション工法とは何か?
湿式外断熱工法(EIFS:Exterior Insulation Finish Systems)の一例として、世界で最大のシェアを占め、国内でもこの4−5年で急速に普及している米国ドライビット社のアウサレーション工法を例にとってを例にとり、簡単に湿式外断熱工法の施工手順を紹介する。(*1:累積実績約約3億m2以上)
2)工法の概要
下地は耐水性と防耐火性のある必要強度を持ったコンクリートなどを使う外壁である。下地に求められる要件は、台風や地震に耐えられる長期的な強度・耐久・防水性を持っており、断熱ボードの平滑な接着が可能なことである。下地に接着する断熱ボードはビーズ法発泡ポリスチレンであり、透湿性や防火性などドライビット社指定仕様のEPS品(以下ドライビットボードと記述する)である。下地と断熱ボードの間の接着樹脂モルタルは写真では見えていないが、全面接着で取り付けられる。接着厚みは約2−3mmとなる。接着剤は、ドライビット社製ポリマーとセメントの現場混合による接着混和材であり、ドライビットボード裏面にノッチ付き鏝で均一に塗布して貼り付ける。ドライビットボードの厚さは一般的に50〜120mmが多いが、設計事情に応じて20〜300mmまでの範囲で対応できる。接着完了後、そのドライビットボードの表面を約2mm厚の樹脂モルタルとガラス繊維メッシュが一体になった層で覆い(鏝施工)、ベースコートと呼ばれる保護層を構成する。ベースコートが乾燥したら、最後の表面仕上げ工程に入る。透湿性を持つ専用の塗り材(ドライビット・フィニッシュ:ロームアンドハース社のオールアクリル樹脂をベースに骨材などと特殊配合された各種仕上げ材)により、鏝もしくはローラー・スプレー施工にて、装飾的に仕上げる。このメッシュ入りベースコートとフィニッシュコートによりドライビットボードに高耐久性・耐水性・耐衝撃性・防火性・意匠性・防汚性等が付与される。ボードの接着から仕上げまでを総合商品設計されたシステム工法による外断熱工法であり、米国EIMA工業会規約に準じてメーカーの研修を受けた専門施工者のみによる施工を行って市場に普及してきた。
3)施工手順
まず、最初に国内での改修や新築での湿式外断熱工法の施工状況の写真やイラスト図(写真-2〜9、図-1〜3)により、施工の様子を示す。
 写真-2.端部メッシュの施工:最初にシステムの端部(他工法との接合部)にエキスパンション目地を設けるためのガラス繊維メッシュの先行施工を行う。
 写真-3.断熱ボード(厚み20−300mm、以下このビーズ法発泡ポリスチレンの断熱ボードをドライビットボードと記述する)の裏面に接着樹脂モルタルをノッチ付き鏝で塗りつける。
 図-1.ドライビットボード(600x1200mmx厚み)は縦目地を破れ目時として下地の壁に貼り付けていく。
 図-2.ドライビットボードの接着では、出隅や入隅も交互にずらして貼り付けていく。

写真-4.ドライビットボードを壁に押し当て、長い定規で押しつけ平滑に貼り付ける。

図-3.長い定規で押すことで、全体を平滑に施工出来る。
 写真-5.ドライビットボードが乾燥し完全に接着された翌日以降に、ベースコート施工のためドライビットボード表面に接着樹脂モルタルを鏝で塗りつける。

写真-6.接着樹脂モルタルの上からガラス繊維メッシュを鏝で押し当て、メッシュパターンが見えなくなるまで鏝でならして、均一な厚み(約2mm)のベースコートを鏝施工で形成していく

写真-7.開口部の周辺は、バックラップと呼ばれる施工方法で、ドライビットボードの端部を包み込み、ドライビットボードの表面は全てベースコートで覆われる。基本的に端部はシール処理される

写真-8.ベースコートが乾燥・硬化した翌日以降に、ドライビット専用フィニッシュを鏝等で塗りつける
 写真-9.骨材の入ったフィニッシュでは、一旦塗りつけた後で、少し半乾き気味になったら、プラスチックの鏝等で骨材を転がし、所定のテクスチャーをつけていく。
システム端部などには所定仕様のシールも施工し、フィニッシュが完全に乾燥したら完成となる
 写真-10.ベースコート部分の断面:ドライビットボードの表面をベースコートでカバーされており、ベースコートの中央部に補強メッシュが位置している。ベースコートの表面はドライビット専用のフィニッシュコートで覆われている。

図-4.ベースコートは、以下の2回塗り施工が基本である。最初に、鏝で接着樹脂モルタルをドライビットボードの表面に約1〜2mm厚みに塗りつけ、その上からガラス繊維メッシュを当てて、その上から鏝でならして、メッシュをベースコートの中央部に埋め込んで行く。メッシュパターンが見えなくなったら、少し乾かすことで、樹脂モルタルが収縮し、メッシュパターンが再度表面に出てくる。そこで二回目の最終コートとして、再度柔らかめのジェネシス樹脂モルタルを鏝でスキムコート掛けし、パターンを消すように仕上げていく。この作業により、均一な厚みの約2mm程度のベースコートを比較的早い施工で仕上げることが出来る。すなわちガラス繊維メッシュを厚みゲージとして利用して行く。メッシュを太くしたり、二重に施工することで、高い耐衝撃性能が得られる。なお、メッシュ貼り付け以降の作業をスプレーやローラーで施工する製品も用意されている。
4)湿式外断熱工法の必要性能
湿式外断熱工法(EIFS)で米国国際主事会議評価機関(ICBO−ES)が要求する最低限の要求性能はすべて、アウサレーションはカバーしている。防火や耐風圧など国内のアウサレーション導入認可に必要となったICBOの再証明書で証明している基本性能は図-2や表-2の通りである。表2の※印のついた11項目が米国ICBOで合格することを義務づけされた性能であり、残りはEIMAの業界要求並びに、ドライビット社の規定している性能である。これらの証明データはサンクビットURL(文末)でダウンロード出来る。

図-5.米国での湿式外断熱工法に要求される様々な品質性能
同じアウサレーション工法で全ての要求性能をクリアし、且つ様々な意匠要求・各種天候での施工条件等でもこれらの性能を確保できるように、約40年に及ぶドライビット社の開発技術の成果が各種製品群としてラインナップされてあり、製品サポート情報がURLや製品説明資料などで公開されている。
表-2.ドライビット外断熱改修工法が備える各種性能
NO |
性能 |
評価項目 |
試験法 |
基準値 |
判定 |
1 |
耐火特性 |
耐火性能試験 |
法2条七号に基ずく(性能評価試験耐火二時間) |
遮熱性:表面温度180K(平均140K)以下 |
150K(平均134K) |
合格 |
非損傷性:内部鋼材温度550°C以下 |
442°C |
非加熱側へ10秒を越えて継続する火災の噴出の有無 |
なし |
非加熱面で10秒を越えて継続する発煙の有無 |
なし |
遮炎性:火災が通る亀裂等の損傷の有無 |
なし |
2* |
上階延焼防止試験 |
マルチストーリーテストUBC 17-6 |
|
基準値以下 |
合格 |
3 |
4 |
ASTM修正E-108 |
|
火災危険度0 |
合格 |
5* |
発煙防止性能 |
トンネル試験
ASTM E84 |
発煙係数450以下 |
450以下 |
合格 |
6* |
標準加熱試験 |
ASTM E119 |
|
ドライビット取付けによる1時間2時間の防火性能への影響なし |
7* |
輻射熱暴露試験 |
NFPA268 |
試験体表面で5秒以上の火災がないこと |
火災の発生なし |
合格 |
8* |
付着特性 |
下地−断熱材接着強度平面引張り強度 |
ASTM C297** |
EPSもしくは下地が破壊すること |
破壊位置ドライビットボード
最大付着応力度
13.2〜16.0(N/cm²)
|
9 |
衝撃特性 |
耐衝撃試験 |
EIMA基準 101.86 |
標準の鉄球(1.82kg)を基準衝撃領域に相当する高さから落下させクラックが生じないこと |
各等級に対応 |
ASTM E695 |
たわみ、ひび割れの発生がないこと |
たわみ、ひび割れの発生なし |
10 |
風荷重 |
下地−断熱材接着強度 |
ASTM C297 |
告示1458号に従う
接着強度>負圧による風荷重
|
ドライビットボード付着力15N/cm² 最大負圧0.827N/cm² 最大負圧はEPS付着力の1/20
|
11 |
耐凍害性 |
吸水-凍結融解試験 |
アメリカ連邦試験
規格141A |
割れ、ひび、裂けなど損傷がないこと |
60サイクル
割れ、ひびなど損傷なし
|
| 12* |
凍結融解試験 |
ASTM C67 |
割れ、ひび、裂けなど損傷がないこと |
60サイクル
割れ、ひびなど損傷なし
|
13* |
構造強度 |
正負風力荷重力 |
ASTM E330
接着強度は ASTM C297**に準じる
|
許容荷重=最大荷重x安全率3 |
下地材への接着強度低下はなし879.65/m²以上の試験に合格 |
14 |
耐カビ、耐菌性 |
|
米国軍用標準規格810B |
試験中カビの発生がみられないこと |
発生なし |
15* |
耐塩害性 |
塩水噴霧試験 |
ASTM B-117 |
300時間有害な変化が認められないこと |
300時間合格 |
16* |
透質性 |
水蒸気の透過性 |
ASTM E96 |
認定基準内に適合すること |
基準内、水蒸気の透過性有 |
17 |
耐磨耗性 |
磨耗抵抗試験 |
ASTM D698 |
|
500リットル 合格 |
18* |
耐候性 |
促進耐候試験 |
ASTM G-53、G-26 |
試験時間2000時間
割れ、ひび、裂け、侵食がないこと
|
2000時間**
損傷なし
|
19 |
遮音性 |
|
ASTM E90 |
|
2.54cmのドライビットボードは最低遮音性能45を有する |
20* |
耐水性 |
耐水度試験 |
AETM D2247 |
14日の暴露試験 |
問題なし |
21 |
ASTM E331 |
試験環境にさらされた面と、反対側面へ水の透質がないこと |
水の浸透なし |
22 |
総合評価 |
ICBO/ES(国際建築主事会議性能評価サービス)による発泡系外断熱工法の性能評価 |
ICBO/ESにて規定される基準AC24外断熱及び仕上工法の認定基準
AC12発泡プラスチック保温材の認定基準を全てクリアしていること
|
性能評価書の発行を取得 |
23 |
(財)建材試験センターによるICBO/ES評価書の信用証明 |
|
|
|
ドライビット「アウサレーション」湿式外断熱工法は国内第一号の証明書を取得 |
※ No.*マークはNo.22のICBO/ESの規定基準試験
** アウサレーション国内販売品の大半は、促進耐候性試験で5000時間「損傷無し」の判定の仕様品となっている。
5)外断熱を採用するまでの検討プロセス
一般的に採用検討の過程は以下の段階をたどる。
フェーズ(1):内断熱+外壁RC面に塗装と、外断熱ではどちらが良いか?
フェース(2):乾式の外断熱と湿式の外断熱ではどちらの工法が良いか?
フェース(3):外断熱が普及した国で認可されている湿式外断熱工法とそうでない工法とではどちらが良いか?
フェース(4):認可された湿式外断熱工法の中で、各製品の優位比較は?
これらの疑問に対する技術的な説明は、「仕上げ材の耐久性や意匠性」「断熱性能」「建築物(躯体RC)の耐久性」「建物の省エネ性能」など色々な視点からの検証が必要となる。国内市場も欧米と同じ市場育成の課程をたどり始めているように感じられる。
6)他の外断熱工法との比較での「アウサレーション」の特徴
- 取り付けに金具などを使用しないため、高い断熱性能を確保出来る。
- 断熱材がEPS*3であるため、数十年に亘り、熱伝導率や主要物性が変化しにくく、長期的な省エネ性能が得られる。わたり、熱伝導率や主要物性が変化しにくく、長期的な省エネ性能が得られる。
*3:世界の湿式外断熱の実績は約10億m2以上といわれているが、そのほとんどがEPSである。その理由はその物性特徴としてノンフロン・グリーン購入法適合製品・自己消火性であることがあげられる。
- 上記表1の性能を確保するためには、設計と材料そして施工がメーカー規定通りに実施される必要がある。そのため米国と同じ業界ルールを適応した販売方式を採用している。ドライビットの施工はID登録技能者が配置されていることが必須条件である。弊社は米国同様、設計や施工に必要な各種技術資料を出版物やURLで公開している。
- 例えば端部処理ではガラス繊維メッシュは樹脂モルタルと一体化して端部に位置するEPSを巻き込むように施工される(バックラップ)。この結果万一の火災時にも断熱材の溶融滴下や燃え上がりを防ぎ、高い防火性能を有する(米国法基準クリア)。結果的にこのような規定の施行要領と工法自体が軽量で柔軟なことににより、地震や台風に強く、地震のあとの火災リスクに対しても、高い防火性能を発揮し、資産を守る。
- 日常衝撃には、耐衝撃仕様とすることで対応し、部分的に打ち傷に強い仕様とすることが出来る。
- バックラップにより端部シールが可能になり、凍結融解試験など、長期耐久性を評価する各種性能が確保されている。
- 断熱材には通常より透湿性の高いドライビットボードを使用しており、下地より外部側の工法全体を通じて水蒸気の排出がスムーズに行われる。凍結融解による外壁劣化が起こりにくく、丈夫で長持ちとなる。
- EPSや樹脂モルタル下地を組み込んだ複合仕上工法であるため、RCに直接塗装して仕上げる場合より、遥かに高い耐久性が得られる。工法自体が柔軟でクラックなどが入りにくく、専用仕上げ材は、最高級のオールアクリル樹脂と天然骨材との組み合わせにより、一部主要製品では促進耐候性試験で5千時間以上と驚異的な数値が得られている。独自の防汚染性や防カビ性能により、簡単なメンテで長期に亘り美装を保つ技術を持っている。→長寿命であることで、高いLCCやLCCO2が目指せる。などで仕上げる場合より、はるかに高い仕上材の耐久性が得られる。工法自体が柔軟でクラックなどが入りにくく、専用仕上げ材は、最高級のオールアクリル樹脂と天然骨材との組み合わせ設計により、促進耐候性試験で5千時間以上と驚異的な数値になっている。独自の防汚染性や防カビ性能により、簡単なメンテナンスで長期にわたり美装を保つ技術を持っている。長寿命であることで、高いLCCやLCCO2が目指せる。
- 表面の専用仕上げ材の種類が多く、多彩な表現力がある*4。→ドライビットボードの立体成形による自由な外装デザインとの組み合わせで外壁面への創造的な意匠表現が可能になる。*4:テクスチャー5種以上+特注色3百色以上。/種。
- 国内でも、資格を有する技術員*が携わり施工される仕組みとすることで、施工品質の維持を確保。→長い歴史が培った仕組みで信頼を構築。(注*:現在国内全県で、約800名が3日間の研修・試験合格を経て、アウサレーション施工技能者としてID登録されている)

写真-11.国内の改修施工状況:ドライビット施工者への現場研修指導風景
7)ICBO再証明工業会の必要性
尚、上記施工要領でわかるように、本工法に限らず欧米主流の湿式外断熱工法は、基本的に全て現場で施工者の技量に依存する工法である。すなわち、適切な設計と確実な施工が製品性能を確保する確保の大前提となる。工法の特性を活かした設計仕様で、メーカーのマニュアル通りに現場で施工されていく仕組みがないと、せっかくの長寿命や高品質も確保されない。
湿式外断熱の市場育成は国のインフラ政策そのものとなってくるため、どの国でも建築法規で最低要求性能を規定する。EIFSに求められる米国基準としての各種性能を表−2に示す。例えば防火性能など、これらの性能基準は都市火災の安全の為にも必須事項となる。各メーカーは、法の求める各種最低性能を確保しながら、発注者に対しより良い性能をより安価にといった市場原理に従い製品を供給するが、現場の施工仕様で品質が左右されるため、健全な市場育成のためには法律の他に業界によるモラル育成も必要になる。このため、同種の工法を導入しようとする国はいずれも、法体制や業界の適切な整備を進めている。国内でも、(社)日本塗装工業会で湿式外断熱基幹技能者育成活動を始めるなど一部業界での動きも始まっているが、今後本格普及に対応して、関連法規の見直しやそれに適合した専門業界の設立が望まれる。
湿式外断熱の市場育成は国のインフラ政策そのものであり、どの国でも建築法規で最低要求性能を規定している。例えば防火性能などの性能基準は社会安全の為にも必須事項となる。各メーカーは、法の求める各種最低性能を確保しながら、発注者に対しより良い性能をより安価にといった市場原理に従い事業展開を行っているが、現場の施工内容で品質が左右されるため、健全な市場育成のためには法律の他に業界によるモラル育成も必要になる。このため、同種の工法を導入しようとする国はいずれも、導入初期は米国基準を準用しながらも、やがては法体系や業界の適切な整備を進めている。
国内でも、今後本格普及に対応して、湿式外断熱の健全な普及を目指し、ICBO再証明外断熱工業会の発足・育成の動きが始まっている。
8)「アウサレーション」の国内外実績
写真-12〜20は海外・国内でのアウサレーションの施工物件例を示す。
 写真-12.リバーシティ シカゴ イリノイ州、米国
 写真-13.ベラッジオ ラスベガス ネバダ州、米国
 写真-14.4千m2 外断熱改修効果を建設省自ら実施 北京市 中国

写真-15.国内新築の写真:神奈川県秦野市「南秦野保育園」
 写真-16.施工例
 写真-17.施工例
 写真-18.施工例

写真-19.施工例

写真-20.施工例
3.日本市場向け新工法アウサレーション・スムースの開発と販売開始
アウサレーション工法は米国の工法を踏襲する形で導入されたため、仕上げを鏝作業で行うことが前提であったが、日本の新築建物や改修建物に採用されてきた仕上げを望む声も強くあった。また改修物件においては既存部分と改修部分の外観的な調和を図る必要性から、リシン吹き付け、玉吹きに近い仕上げを可能としたアウサレーション・スムース工法(以下スムース工法と記述する)の発売を開始した。
スムース工法は、可使時間内での作業性がより安定するように新たに開発された「ジェネラスティック」と称する樹脂モルタルを模様下地として使用する。通常のアウサレーション工法との違いは、ベースコート施工の工程の中で、ローラーもしくはスプレーによるジェネラスティック樹脂モルタルのベースコート面への下地模様付けまで行うことである。従って、通常のアウサレーションの仕上げが非弾性系骨材配合型であるのに対し、スムース工法では弾性系で骨材のない塗材を中毛ローラー二回塗りで仕上げ施工する。
新工法「アウサレーション・スムース」の特徴
- 国内のRC外壁改修仕上げ仕様で最も多い吹き付けタイル調や砂骨ローラー調のテクスチャーとすることができる。
- JIS A6909 複層仕上塗材CEに合格*した弾性系透湿型専用塗装仕上材である。注*:欧米の性能品質要求にない低温安定性試験には合格していないが、施工マニュアルで4°C以下の施工や材料保管を禁止しており、施工後の物性としては合格との意味。
- ローラーもしくはスプレー技術による仕上げとしたことで、規模の大きな物件では施工合理化によるコストダウンが見込める。
- 既存のアウサレーション施工に比較して、専用仕上材がより速く乾燥し、工程管理が改善される。
- アウサレーション(仕様F(フル))の他に、下記3つのアウサレーション関連工法を組み合わせることで、合理的な改修計画が対応できる。
アウサレーション工法
仕様F:外断熱改修(断熱+ベースコート(防水補強)+模様下地(塗膜保護)+仕上(再塗装))
アウサレーション関連工事
仕様P:劣化防止+外観美装(ベースコート(防水補強)+模様下地(塗膜保護)+仕上(再塗装))
仕様T: 外観美装(模様下地(塗膜保護)+仕上(再塗装))
仕様C:再塗装(テクスチャー付き既存仕上げ面への再仕上げ)
 写真-5:アウサレーション・スムース玉吹きスプレー仕上げ

写真-6.アウサレーション・スムース:砂骨ローラー仕上げ
4.今後の展望と課題
外断熱工法は材料と施工法が厳密に規定・組み合わされた総合技術であり、その仕様はメーカーが規定し、その性能を第三者機関が厳密なテストを行って保証されたものである。省エネ法が改正され外断熱の新築や改修が増加しているが、発注者は外断熱工法のメーカーが証明し、保証している内容を良く比較して、所定の性能を持つ外断熱工法を選択すべきである。因みに弊社の製品は米国全土で施工可能な性能を保有し、国内でも(財)建材試験センターより再証明を受けていることは前述した通りである。この場合、発注書へは「断熱材EPS○○mm」「(財)建材試験センターのICBO/ES再認証承認仕様同等以上性能」と書いていただければ、必要な性能が全て付属して来る工法を指定することとなる。
設計図書へこのように明確に仕様性能を明示することにより、現在課題となっている外断熱工法への「発注者責任履行」につながってくる。その明確な設計要求に対して、建設会社と専門ID施工会社は厳格な「発注性能・仕様を守る施工管理」を実施することで、施主に以下の様なメリットを持つ本湿式外断熱工法(ドライビット工法)の建物を引き渡す事が可能になる。
- 長寿命でメンテナンス費用が少なく、省エネ効果が大
- 外装デザインへ多彩に対応し、自然災害(地震・火災・台風・凍害)に強い
- 居室内での外断熱による快適健康環境の実現
- 急増する外断熱改修において施工時の騒音・振動や臭いなど少なく居ながら施工が可能
原油高騰や環境問題が国際問題となっている現在、本湿式外断熱工法(ドライビット工法)は中国・インドなどアジアやアフリカを含む世界110カ国以上で、過去にないスピードで世界的に普及している。現在の国際社会は、このような高耐久性の外皮断熱化を進める事で、エネルギー依存の少ない・長寿命で廃棄物の少ない環境対応型建築社会に進化していることが感じられる。
日本においても高耐久性外断熱建物の普及にあたっては、まず厳しく品質が守られる仕組みを先にしっかりと構築し、京都議定書の議長国として恥ずかしくないスピードで積極的に進めることを考えなければならないだろう。
(関口高正)
参考URL ソトダンフォーラム:www.sotodan.com
サンクビットホームページ:www.cinqvit.com
外断熱の改修効果を事前予測したい方は:(株)クアトロ:www.qcd.co.jp
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