
1.はじめに
「外壁」は外的劣化要因である風雨・日射・乾燥など常に天候に曝される建築要素で、躯体の保護機能と美観を合わせ持つ重要な箇所である。この外壁に断熱性能を持たせた建物を「外断熱建築物」と称している。
外断熱建築物は、無断熱・内断熱の建物に比べ、省エネや快適な室内温熱環境を確保し、躯体コンクリートの中性化進行を遅らせるなどの特長があり、居住者がその恩恵を享受するばかりではなく、「地球温暖化防止」など社会的意義も大きい。更に健全な外断熱工法は新築の建築物ばかりでなく、改修建築物でも躯体の耐久性向上(建築物の長寿命化)・美観回復(向上)・室内環境の大幅な改善が同時に期待でき、資産価値の向上につながる。
外断熱工法は、いくつかの工法に分類される。2000年の建築基準法の改正により、旧来の仕様規定に対し欧米の性能規定が導入され、透湿薄塗型の湿式外断熱工法が国内でも施工可能となった。米国では、この湿式外断熱工法が40年近く多くの建築物に採用されてきており、複数のメーカーと専門工事会社による工業会が安全で耐久性の高い技術として、実績と信頼を培ってきた。
2001年頃より、弊社は米国ドライビット社の協力のもと、法改正に対応した各種証明に関係する行政などとの協議を行い、国内での湿式外断熱工法の市場を拡げることができた。
この時、特に問題になったのは、法22条・23条などで規定されている「外壁の不燃性」であった。従前の改正前の基準法では22条指定地域以内では、塗料などを除き、法で規定されている土塗壁同等以上の防火上有効な壁とされており、それ以外は一切使用を認められていなかった。ほとんどの建築主事はこの解釈を「要求される防耐火性能を持つ下地に、不燃材料と同等以上の法で規定された材料のみが外装材として使用される」ということを許可の前提と判断していた。しかし、法改正により「性能評価」という手法によっても、不燃と同等の防火性能を確保することが可能となった。すなわち可燃物であるEPS(ビーズ法発泡ポリスチレンボード)を使用した米国EIFSであるアウサレーションも、米国ICBO−ESという規定に基づく性能を国内で認証する手続きで、基準法が要求する防火性能を持つと判断され、国内での耐火外壁表面などへの施工が可能になった。可燃物の断熱材を使用した湿式外断熱工法にとって、「不燃と同等以上」という防火性能の証明が重要なポイントである。
2.湿式外断熱工法の概要
1)アウサレーション工法
湿式外断熱工法(EIFS:Exterior Insulation Finish Systems)の一例として、世界で最大のシェアを占める、米国ドライビット社のアウサレーション工法について簡単に概要を紹介する。(*1:累積実績約約3億m2以上)
 写真1.アウサレーション外壁仕様写真
2)工法の概要
耐水性と防耐火性のある必要強度を持ったコンクリートなどの外壁を下地とする。下地に求められる要件は、台風や地震に耐えられる長期的な強度・耐久・防水性を持っており、断熱ボードの平滑な接着が可能なことである。下地に接着する断熱ボードはEPSであり、透湿性や防火性などドライビット社指定仕様のEPS品(以下ドライビットボードと記述する)を使う。下地と断熱ボードの間の接着樹脂モルタルは写真では見えていないが、全面接着で取り付けられる。接着厚みは約2−3mmとなる。接着剤は、ドライビット社製ポリマーとセメントの現場混合による接着混和材であり、ドライビットボード裏面にノッチ付き鏝で均一に塗布して貼り付ける。ボードの厚さは一般的に50〜120mmが多いが、設計事情に応じて20〜300mmまでの範囲で対応できる。接着完了後、そのドライビットボードの表面を約2mm厚の樹脂モルタルとガラス繊維メッシュが一体になった層で覆い(鏝施工)、ベースコートと呼ばれる保護層を構成する。ベースコートが乾燥したら、最後の表面仕上げ工程に入る。透湿性を持つ専用の塗り材(ドライビット・フィニッシュ:オールアクリル樹脂をベースに骨材などと特殊配合された各種仕上げ材)により、鏝もしくはローラー・スプレー施工にて、装飾的に仕上げる。このメッシュ入りベースコートとフィニッシュコートによりドライビットボードに高耐久性・耐水性・耐衝撃性・防火性・意匠性・防汚性などが付与される。ボードの接着から仕上げまでが総合的に商品設計されたシステム工法による外断熱工法であり、米国EIFS工業会(EIMA)規約に準じてメーカー研修を受けた専門施工者によって施工される。
3)湿式外断熱工法の課題と特徴
湿式工法とは、建築用語辞典(日本建築学会編)で「水を加えて練り混ぜた材料を、塗り付けたり吹き付けたりして、乾燥硬化により完成させる工法」と説明されている。アウサレーションを含め全ての湿式外断熱工法は、気温や湿気・降雨・霧・風・日射など、天候や施工場所の条件によって施工工期やコストが左右されやすい。寒冷期や多湿降雨期での施工においては、未乾燥硬化段階では、通常の外部左官の仕事と同様に、しっかりと養生(採暖)を行わないといけない。厳しい施工条件の場合では降雨や霧・凍結融解などで施工面が影響を受ける可能性があるため、専門的な施工管理が重要である。
しかし、一旦接着材やベースコート、そして仕上げ施工層が乾燥し硬化完了すると、オールアクリルのディスパージョンの架橋構造により、驚くべき外皮の耐久性が確保される。
3.実際のドライビット外断熱改修での施工状況
1)施工の手順
事前に施工者が下地となる外壁状況を調査・診断し、必要な耐震診断・劣化診断や補修を実施する。まず笠木や水切り・手すり・樋などを、一旦取り外す。それから新しい外装デザイン図面に基づいてドライビット外断熱施工を行う。施工マニュアルに従って、@断熱ドライビットボードの接着取り付け。A表面への保護層(ベースコート)の鏝施工を行う。Bドライビット専用特殊仕上げ材により、図面通りのテクスチャーや形状・色に仕上げ施工する。C断熱材厚み+6mmほど厚くなった外壁に、新しい笠木・水切り・手すり・樋等を取り付ける。Dドライビットシステムの端部の防水シール施工を行う。
 写真2:発泡断熱材の貼り付け施工
 写真3:小口の保護層による被覆 (バックラップ施工)
 写真4.最終表面仕上げ施工(鏝による施工)
この工法は水系なので施工中に溶剤臭はないが、湿式の課題として雨期・冬季など天候条件が悪い工事では、乾燥が遅れ工事期間が延びることがある。コストを考慮し、冬季や雨季を避けた施工計画が望ましい。アンカーを使用しない接着施工のため、熱橋がなく、振動や騒音を伴わないので、入居したままでの改修が可能である。
2) ドライビット外断熱改修での計画から工事完了までの流れ
ドライビットは接着で取り付けられる。築20年以上経過している外壁では、表面の劣化があるので、一般的には、下記の手順で改修計画される。
 表1.外断熱改修工事での調査・診断・設計・施工の手順
3)外断熱改修工事の計画とポイント
既存の建物に外断熱を施工するときは、下記のような事項がポイントになってくる。
- 原則として外断熱は建物外壁全面に施工するように計画する。躯体の鉄筋コンクリートは熱伝導性が良いので、部分的な外断熱では大きくメリットが損なわれる。
- 断熱材の厚さは可能な限り厚い仕様を選択する。最低でも50mm(T地区では最低でも80mm)、可能であれば100mm(同120mm)以上が望ましい厚さである。断熱材は比較的安価な材料なので、厚くなっても工事費への影響はそれほど大きくはならないが、建築限界などで厚みは制限されることが多い。断熱材が厚くなるほど断熱効果が高く、省エネ効果も上がる。一旦施工すると長期間に亘って再工事を行う必要がないので、大規模な改修工事では関係者に充分説明し納得頂くことが大切である。
- 施工には所定の作業余地を設けた足場が必要となる。隣接建物と接近したところでは綿密に作業計画を検討する必要がある。
- 外断熱を施工すると断熱材の厚さによって、外壁が厚くなるので、道路境界や隣接境界を越さないかどうかの確認が必要になる。
- 外断熱改修と合わせてサッシを入れ替えたり追加する場合は、その取り合いについてサッシメーカーや外断熱メーカーと充分な打ち合わせが重要である。
- 暖房機の排気口や風呂釜の排気口などの回りでは、排熱を考慮して所定の距離を確保する。
- 玄関付近など物がぶつかりやすい場所ではメッシュの強度を一段階上げて、外壁表面を強化することが望ましく、米国の工業会(EIMA)基準を参考にする場合も多い。
- バルコニーなどの大きな張り出しであっても裏面(軒天)は外断熱仕上げを施すようにする。これにより、放熱フィンとなるバルコニースラブを下向き面は断熱することができる。上向き面は、防水や歩行荷重など実用面で差し支えない方法にて、断熱防水すべきである。残念ながらアウサレーションは、水平上向き面の施工を禁止されており、他工法での防水・断熱改修となる。
4)工事中の注意
- 外断熱資材はメーカーの純正品を使用していることを確認する。米国の工業会EIMAでも、異種のシステムメーカーの部材を組み合わせた施工は禁止事項となっており、法的な性能を確保するために、必ず該当メーカーの設計/施工マニュアルを遵守する。
- 断熱材を貼る前にコンクリートなどの下地の不陸を調整し、EIFSの施工前に1mの直径の平面に対して3-5mm以上の凹凸が無いように不陸を補正する。
- 雨天時には工事を行わないこと、また天候が怪しいときには工事を控えることを前提に工程計画を行う。やむを得ず工事を行うときは雨にあたらないように充分養生して施工する必要がある。
- 前工程の充分な乾燥硬化を待ってから次の工事に取りかかる。断熱材を貼ったあとと、グラスファイバーメッシュを貼り付けたあとは24時間以上養生して、乾燥させる必要がある。
- 外断熱施工はこれまでにない工種である。建設工事は28工種に区分されているが外断熱施工はそのどれにも属さない特殊工事である。訓練や知識が不十分な作業員や監督の下では正しい外断熱施工が期待できない。できるだけ熟練した作業員や、メーカーの教育・研修を受講して資格を取得した工事監督者または作業者が施工することを確認する。外断熱の意義・施工のポイントを体得した作業員が正しい施工を行う。
4.湿式外断熱工法の耐久性
1)米国の湿式外断熱工法に法的に要求される性能
湿式外断熱工法(EIFS)に米国国際主事会議評価機関(ICBO−ES)が要求する性能をすべて、アウサレーションはカバーしている。防火や耐風圧などアウサレーションの認可に必要となったICBOの基本性能は図1の通りである。これらの証明データはサンクビットURL(文末)でダウンロードできる。
30年以上の年月となると、外皮には地震、火災、台風、凍害、など多くの劣化要因が関係してくる。
 図1.米国での湿式外断熱工法に要求される様々な品質性能
これらの法規上の要求性能は、社会資産としての建築外皮に最低限要求されるべき性能であり、環境負荷上重要な長寿命建築としての機能である。
2)湿式外断熱の耐久性評価に関する米国の性能試験
1. 序論
湿式外断熱工法の耐久性を技術的に検証するために、米国の研究機関において建築法規上で行われる各種試験の内容の一部を以下に紹介する。以下のデータは、ドライビット社のアウサレーション工法がどの程度の性能を持つかに関係する技術情報として開示している。
このような技術情報を開示することで、アウサレーションは、それを指定した建築家やディベロッパーなど事業関係者から信頼を受けてきた。更に、ドライビット製品が、ビルのメンテナンス費用を最小にするように設計されていると評価されてきたことも付記しておきたい。当然のことながら、すべてのビル外壁建材製品と同様に、アウサレーションも通常の保守点検とクリーニングは必要である。
2. 試験方法と結果(f.耐カビ/耐菌性試験とg.摩耗抵抗試験・i.耐衝撃試験・j.遮音特性試験以外はICBO法規要求試験)
a.耐風圧試験
風圧試験ASTM E330 にて12.6kgf/cm2以上(下地への接着強度の低下なしで実負圧879kgf/m2以上に相当)の風圧力で負圧と正圧の耐風圧負荷試験され、システムが下地との接着剥がれや欠損を生じない。
b.塩水噴霧試験(ASTM B117)にて、 300 時間の連続試験を行い、システムが有害な損傷・欠損などを起こさない。
c.凍結融解試験(ASTM C67 )にて水浸漬状態での20℃と−10℃のサイクル試験で、60 サイクルを連続で試験し、システムにひび割れの発生や、クラックまたは剥がれの発生がない。
d.接着性試験(ASTM C297)にてシステムに負荷をかけ、下地側が先に破損することで、外装材としての十分な接着強度であることが確認。
e.耐水性試験(ASTM D2247)にて、システムを 14 日間連続の浸水暴露試験を実施し、その後の確認でシステムに問題が発生しないことを確認。
f.耐カビ/耐菌性試験(ASTM D3273)にて、EIFSの基準に合格。
g.摩耗抵抗試験(ASTM D968)にて 500 リットルの流下に合格。
h.耐水浸透性試験(ASTM E331)にて、下地壁の最も奥まで水の侵入がないことを確認。
i.耐衝撃試験(EIMA 試験規格101.86)にて、以下の強度を確認。
スタンダードメッシュ>0.415Kgf・m
スタンダードプラスメッシュ>0.645Kgf・m
インターメディエイトメッシュ>1.244Kgf・m
パンザー15(もしくは20)メッシュ+スタンダードメッシュ>1.866(4.055)Kgf・m
j.遮音特性試験(ASTM E90)にて25.4mm 厚のEPS によるシステムで最低の遮音性能が45を有することを確認。
k.水蒸気の透過性試験(ASTM E96)にて浸水試験“B”を行い、水蒸気の透過性が、EIFSとして必要な性能であることを確認。
l.促進耐候性試験(ASTM G53)にて法規要求の 2000 時間にて、変色・チョーキング発生などなく合格を確認。(日本国内販売中の製品はほとんど5000時間(実暴20−30年以上)に合格した仕様の製品を販売している。)
m.連邦試験方法標準規格(141A)による凍結融解試験にてシステムパネルを20℃の水中に4日間放置後、−10℃にて2時間放置し、再度+20℃にて2時間のサイクルを60サイクル試験し、総合での重量増7.9 グラム。ひびやクラックまたは剥がれ無しであることを確認。
n.断熱材 ドライビットボード
- 熱伝導率試験(ASTM C177)にて 0.04w/(m・K)以下
- 吸水率試験(ASTM C272) 容積で最大0.5%
- 圧縮強度試験(ASTM D1621) 10 %のオフセットで10psi(700g/cm2)。
- 標準密度試験(ASTM D1622) 16.0Kg/1m3。
- 酸素指数試験(ASTM D2863) 最低24.0%(容積比)*
(注*:ドライビットボードは酸素指数26以上であり、国内消防法の規定する「指定可燃物」には該当しない。しかしベースコート未施工状態では溶接作業の溶融落下物などにより火災の危険があるためID登録専門施工者による現場での防火管理が重要である。)
- 熱膨張係数(ASTM D696)7x10−5m/m/k
- 災危険等級(ASTM E84) 火炎伝播25以下。
- 水蒸気の透過性(ASTM E96) 水蒸気透過量最大(ng/Pa・s・m2)/(EPS 厚25.4mm)。
3.防火テスト概要
a.「トンネルテスト」(コンポーネント)
(損害保険者研究所UL-723)、(ASTM E84)
火炎伝播25以下。煙拡散450以下。
b.耐火試験(ULC-S 101-1977)においてシステムは15 分の燃焼試験に試験体の脱落がないこと。
c.準用屋根防火試験(ASTM修正 E108) 火災危険度ゼロであること。
d.標準の耐火試験(ASTM E119) 1 時間/2 時間耐火試験での下地外壁組立試験体による耐火性能比較試験において、ドライビット・アウサレーション工法を追加する前と、した後とでは耐火等級の変化がないこと。
e.実大多層階防火試験UBC 26-4(以前のUBC17-6)は1990年にISMA多層階防火試験UBC 26-9(NFPA 285)となったが、その30分に於ける上階延焼防火性評価燃焼試験において、火災源の区画領域から隣接している測部試験体部位への水平火炎伝播が無いこと。
f.輻射熱暴露試験(NFPA 268)において、システム試験体を火災源から無制限の距離においての条件をクリアすること。システムは12.5KW/m2 の熱束への暴露においても着火しないこと。
g.火炎伝播性能に関してはアウサレーションは既に国立試験場でのトンネル試験(UL-723)(ASTM E84)に合格しており、システムは火炎伝播性能が25 以下であることが実証されている。
また、ASTM E84 の試験でアウサレーション工法で使用される発泡ポリスチレン断熱材は、25*未満の火炎伝播性能を有していることも実証されている。
3)湿式外断熱の耐久性評価に関する米国法規要求の性能試験内容
試験方法に関しては、米国ICBO EVALUATION SEVICE,INC.(米国国際建築主事会議性能評価会社)の外断熱および仕上げ工法の認定基準(AC 24)にて規定の第6章に規定されている以下の試験方法の翻訳文を参考のため引用する。詳しくは関連法規全文を参照願いたい。
米国では、湿式外断熱工法の法的性能要求に関して、AC24に規定されている試験方法に基づき最低基準を設けている。
4)防火性能の評価について
その中で、地震国であり密接した住宅建築が多い日本では、可燃物である発泡ポリスチレンボード(EPS)を多量に使用する湿式外断熱工法では、耐久性の中に防火性能を入れる必要が出てくる。そのため、ここでは湿式外断熱先進国である米国における防火性能評価試験やその基準について考えてみる。
 図2.米国EIFSの防火関係の各種性能評価試験
前項で規定されている試験方法のうち、防火試験に関する試験装置のイメージは図2のような各種防火試験となり、実際の評価試験は米国の第三者機関で受験する。法が要求する基準に合格した場合、ICBO-ES評価会社から、認証が発行される。アウサレーションの場合、国内での事業認可を受けるため、そのICBO-ESの認証をさらに日本の(財)建材試験センターから、再認証を受けており、確認申請の場合などで添付書類に利用されている。
 写真5.米国・多層階防火試験でのアウサレーション試験中の状況
写真5は図2左上の火災時の上階への延焼や避難者への安全性を評価する実大多層階防火試験での、試験中の写真である。米国では、このように窓から吹き出す火炎に、最低30分以上耐えることが法的に要求されている。耐えるとは、試験中被評価システムが「何も燃え出さない」「何も被試験体から落下しない」「溶融したEPSの液体が、燃焼火炎に滴下しない」ことである。なお、写真の火炎は開口部から噴き出している炎であって、断熱材が燃えているのではない。火元を取り去るとこの炎は完全になくなることが、試験記録ビデオ(サンクビットURL(文末)で閲覧可)で確認できる。この他にもトンネル試験(写真6)や輻射熱暴露試験(写真7)など、防火関係だけで4種の試験に合格することが必要である。これらが国内でも法の要求する「不燃と同等」の根拠になっている。
 写真6:ASTM E84の試験装置(通称トンネル試験)
 写真7:NFPA 268試験(通称「輻射熱試験」)
5)耐久性の評価について
環境性能評価ツールCASBEEの補助資料によると外壁仕上げ材の補修必要間隔は、石貼(花崗岩)で25年から65年、タイル貼だと40年から60年の耐用年数があると記述されている。現実には、タイル貼のマンション外壁の大規模改修は15年位で必要なことが多い。 評価のポイントは仕上げられる材料の性能だけではなく、いかに取り付けられているか、その工法自体も重要である。
アウサレーションは38年で3億m2以上の実績があり、上記の通り各種の耐久性試験に合格している。また、米国では一部の商品で「30年保証」を発行しているなど、30年以上の耐久性能が大きな特徴である。CASBEEより6年先輩であり、米国で使用されている環境負荷評価ツールLEEDでは、アウサレーションは、評価ランク最高の30年以上という評価となっている。
ところで、外装材の耐久性以上に、構造体つまりコンクリートの耐久性も重要である。アウサレーションは、アンカーなどによる損傷要因が無く、また外部からの熱や雨水の侵入による躯体の劣化を防ぐ機能もある。躯体保護機能は、建物の長期耐久性という観点で大きな要素である。
5.「アウサレーション」の国内外実績
写真8〜9は海外での、写真10〜12に国内の最近のアウサレーション新築事例、そして、写真13〜21には同じく改修事例を、写真22〜24では改修施工中の様子を示した。
掲載された集合住宅改修の事例では、多くの住民の方より、改修後の実感として、夏涼しく冬暖かい快適な生活になったこと、そして光熱費が大幅に安くなったこと、結露に悩まなくなったことが報告されている。また、それを証明する実測データも報告されている。
 写真8.米国・新築:リバーシティ シカゴ イリノイ州、米国
 写真9.中国・改修、外断熱改修効果を建設省自ら実施 北京市 中国
 写真10.国内新築の写真:福島県伊達郡桑折町・老健施設「コクーン」
 写真11.国内新築の写真:栃木県「東急ハーヴェストクラブ那須新築工事」
 写真12.国内新築の写真:東京都目黒区分譲マンション「ディオスカーラ蒲田U」

写真13,14.千葉県市川市・賃貸マンション改修前と改修後
 写真15.徳島県・県営穴吹団地 改修後
 写真16.兵庫県・三日月町中町住宅 改修後
 写真17.長野県・中部電力伊那アパート改修前
 写真18.長野県・中部電力伊那アパート改修後
 写真19.長野県・信濃大町病院改修後

写真20,21.北海道札幌市民間マンション「アイボリーハウス」改修前と改修後
 写真22.国内集合住宅での改修施工中:断熱EPSボード接着施工状況
 写真23.国内集合住宅での改修施工中:窓廻りのバックラップ施工状況
(発泡断熱材のEPSを端部から包み込むことで、米国の厳しい防火
試験を合格しており、火災安全性が確保される。)
 写真24.国内集合住宅での改修施工中:ベースコート施工状況
(最終的に、白い発泡断熱材はこの樹脂モルタルとガラス繊維で
包み込まれ、
最後に専用仕上げ材で、各種の表情を持つ外装に仕上げられる。)
6.まとめ
外断熱工法は材料と施工法が厳密に組み合わされた総合技術である。仕様をメーカーが規定し、性能を第三者機関が厳密なテストを行って保証したものである。 省エネ法が改正され外断熱の新築や改修が増加しているが、外断熱工法を採用するにあたってはメーカーが証明し、保証している内容を良く比較して、発注者は所定の性能を持つ外断熱工法を選択すべきである。因みに弊社の製品は米国で施工可能な性能を有し、国内でも(財)建材試験センターより再証明を受けていることは前述した通りである。この場合、発注書へは「断熱材EPS○○mm」「(財)建材試験センターのICBO/ES再認証承認・アウサレーション仕様同等以上の性能」と書いていただき、その証明書類を設計図書の添付書類に加えることで、法的に必要な性能を仕様として指定できる。
設計図書へこのように仕様を明示することにより、耐久性だけでなく耐火/防火性能への証明となり外断熱工法の「発注者責任」が完成する。
(関口高正)
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