外断熱の原理と効果
原理
外断熱はコンクリートが外気温に左右されず、結露も抑制されます。
外断熱は断熱材を躯体であるコンクリートの外側、つまり屋外側に施工し、建物全体を断熱材ですっぽり包み込みコンクリートを蓄熱体として活用する工法です。
断熱材がコンクリート躯体の外側から覆うので、以下の特徴があります。
・断熱材が連続しない部分(熱橋)が生じにくく、内壁表面の結露が発生しにくくなります。
・コンクリートの蓄熱効果(暖まりにくい、冷めにくい)が利用できるため、室内の温度変化を少なくし、暖房・冷房のエネルギーを抑えることができます。
・日射の熱から躯体を保護し、コンクリート躯体の耐久性が高まります。
内断熱は外気温の影響を大きく受け、結露が発生しやすい工法です。
内断熱は断熱材を躯体であるコンクリートの内側、つまり室内側に施工する工法です。日本国内では一般的に普及されている工法です。
この工法は、コンクリート躯体の蓄熱効果を期待していないため、特に冬は暖房停止時に室内温度が低下しやすくなります。また、構造上、断熱材が連続しない部分(熱橋)が生じるため、冬はその内側で結露が発生する条件になりやくなります。
効果
カビ・ダニの温床となる結露防止
●結露の抑制は健康に暮らす室内環境を実現する第一歩です。
●外断熱では躯体の温度を室内に近い温度に保つため、外壁に面した室内の内部結露を抑制します。
結露の原因と健康被害
結露の発生には、温度と湿度が関係しています。空気は、温度が高いほどたくさんの水分を含むことができます。一方、温度が低くなると、空気中に含むことができる水分の量は少なくなってしまいます。その結果、空気が冷やされると、それまで暖かい空気に含まれていた水分が、空気中に含みきれなくなってしまい、水滴(結露)となって現れるのです。
結露を放置していると、色々なトラブルが発生するようになります。その代表がカビです。カビは湿気の多い場所に発生するため、暖房の温かい空気と結露による水分は絶好の環境です。カビは見た目を損なうだけではなく、ぜんそくやアトピーなどの健康被害を引き起こしたり、カビを餌にするダニの繁殖の原因にもなりますので、要注意です。
外断熱で結露を防ぐ
図は外断熱と内断熱の壁面内の温度分布(赤)と露点分布( 青)の変化のグラフです。壁面温度が露点温度を下回るとその場所で結露が起こる可能性が大きくなります。内断熱ではコンクリート壁面が外気により冷やされ露点温度より低い部分が発生しその部分で結露を起こします。
このコンクリートと断熱材の層間で起こる目に見えない結露は壁体内結露と呼ばれ、壁紙の裏面にカビが現れた時には既に深刻な被害が発生していることが考えられます。外断熱ではコンクリートの蓄熱効果によりコンクリートの温度が室温近くに保たれます。室内の水蒸気が暖かいコンクリートに触れても結露することは殆ど無く、カビやダニの発生する要因を大幅に減らすことが可能となります。
冷暖房コストの削減
●冷房・暖房に費やす電気量の削減は社会全体の課題です。外断熱はエネルギー消費削減=C02 排出量削減を実現します。
●熱容量の高いコンクリートが屋外の断熱材より室内側にあるため、急激な室温変化が無く、快適に暮らせる室内環境が可能となります。
熱損失と室温
冬季は、外断熱により断熱材で覆われたコンクリート躯体が室内の暖房により暖まっているので、暖房を止めても室温が下がりにくくなります。
夏季は、昼間の日射熱からコンクリートが断熱されているのでコンクリートが熱くなりにくくなります。蓄熱するコンクリートの性質でエネルギーを無駄なく使うことが可能となります。
※開口部のガラスを複層ガラスにしたり、厚手のカーテンをつけたり、庭木やベランダの日射遮蔽などを組み合わせると更に効果的です。
外断熱改修時の実測データ
湿式外断熱工法「アウサレーション」での改修事例の実測データです。下記データは外断熱による改修をした部屋と未改修の部屋での室温変化のグラフです。
8〜9月において、内断熱住戸では28〜30℃前後で推移しているのに対し、外断熱住戸では24℃前後となっています。